猫ちゃんはとてもデリケートです。自分が意図しないままに、いつもと違う環境に置かれた場合、敏感に反応して、その場からなんとか逃れたいと思いがけない速さと力で行動します。
病院への通院、ご旅行の際はもちろんのこと、災害時の避難や、その後の避難生活にもキャリーケースはとても有用です。いざという時に備えてキャリーケースをご用意いただくことをお勧めします。
尚、このコーナーは「これからキャリーケースをご購入される方の参考になれば」というコーナーです。
すでに違うタイプのキャリーケースをご使用の方、自転車や徒歩で通院されるために運びやすいソフトなタイプを選んでおられる方、当院にはさまざまなタイプのキャリーケースで大勢の方が通っておられます。
キャリーケースをすでにお持ちの方で、特にお困りではない場合には、現在使用中のものをご利用の上ご来院ください。
猫ちゃん用のキャリーケースは様々な種類があり、迷われることも多いものです。
次の4点をポイントに選んでください。
(このコーナーの最後に、当院で使用している比較的使いやすいタイプのキャリーケースを紹介します)
①横扉のほかに、上が大きく開くタイプ
横扉しかないタイプや、出し入れが複雑なタイプは、診察室で猫ちゃんを出すときに「トンネルから引っ張り出す」ような格好になり、診察前から大きなストレスを感じる子が多いものです。
猫ちゃんが怖がっていたり、ご機嫌斜めのときでも、上が大きく開くタイプ(または上下に分かれるタイプ)のキャリーケースに入れて来ていただくと、猫ちゃんをケースから出さずに聴診、注射、点滴などができます。
(空のキャリーケースの重さをお家で計ってきていただけると、猫ちゃんの体重がわかりとても助かります)
②プラスチック製などハードタイプのもの
通院や震災の際の避難にはプラスチックでできたハードなタイプが適しています。プラスチックタイプのものは、移動の時に安定感があり居住性も高いと言われています。また、排泄物などで汚れてしまった時にもお手入れが簡単で清潔に保てます。
③大きすぎず小さすぎないもの
キャリーケースが大きすぎると、いくら上を開けられても猫ちゃんが中で逃げ回ってしまい診察や処置ができません。また小さすぎる場合、猫ちゃんを出すのに手間取りおとなしい子でも出せなくなることがあります。
手術の後や様々な理由でエリザベスカラーを装着して帰っていただくこともあるので、成猫サイズの一回り大きい物を目安にショップの方に相談してみてください。
④通気性の良い物
キャリーケースのなかでも、なるべく通気性の良さそうなものを選びましょう。
通気性の良いものを選んでおいて、寒そうなときや、他のワンちゃん猫ちゃんが視界に入りおびえてしまう時には、キャリーケースにバスタオルなどを掛けることで、ガードできます。
キャリーケース自体は、通気性のよいシンプルな作りのものを選び、状況に応じてタオルなどを使用してください。
当院で診察の時に実際に使っているタイプです。
写真の物はリッチェル社製です(現在はモデルチェンジしているようですが、引き続き使いやすそうです)が、ほかのメーカーさんの物も使いやすそうなキャリーケースはたくさんあります。
ただし、このように作りがしっかりしているプラスチック製のものは、重いものが多くこの中に猫ちゃんが入ると総重量は結構重たくなります。実際に、猫ちゃんを入れてご自身で持ち運びできるかどうかも、考えなくてはいけないポイントになると思います。
病院に行く直前にキャリーケースを用意して、猫ちゃんを入れて、さあ行こうと思っても、なかなかうまくいきません。
キャリーケースを買ってきたら、次のような手順で猫ちゃんに慣れてもらいましょう。
①猫ちゃんのいるお部屋の中にキャリーケースを置く
②最初はバタバタして怖がらないように横扉は外しておく。
③自由に出入りするようになったら横扉を付けて開けっ放しにしてみる。
④常時③の状態で猫ちゃんが自由に出入りできるようにしておく
上のフタは閉める時に大きな音がする場合が多いので、開けっ放しにしたり、上から猫ちゃんを入れたときに「バタン」と閉まらないように、気をつけましょう。
キャリーケースに入ってもらうために、好きなフードやおやつを少量を置いてみるのもよいでしょう。
おもちゃ類を置くとケースの中で誤飲事故につながる場合がありますので十分に気をつけましょう。